―健康とサプリメントの
基礎知識―
“なんとなく良さそう”から、“よく分かって使う”へ。
あなたの健康づくりを、正しい知識でサポートします。
・第4回:健康食品による健康被害と相談事例
1. 増えている「健康食品トラブル」
健康のためと思って始めたサプリメントや健康食品で、かえって体調を崩すケースが増えています。
国民生活センターや医療機関への相談は、毎年数千件にのぼります。
特に近年は、「複数の健康食品を併用」「薬と一緒に摂取」など、知らずにリスクを重ねているケースが目立ちます。
2. 実際に報告されている健康被害(参考)
以下は、報道や研究などで報告・指摘された健康被害の一例です。
※あくまで「報告例・関連が疑われた例」であり、すべてが因果関係を示すものではありません。
| 主な症状・障害 | 想定される関連要因(報告・指摘例) | 備考 |
|---|---|---|
| 肝機能障害 | 一部のサプリメント(紅麹を含む製品、ダイエット系、ハーブ製品など) | 成分の代謝や相互作用によって肝障害が報告された例がある(例:2024年の紅麹サプリ関連報道など) |
| アレルギー反応 | ローヤルゼリー、プロポリスなどの自然由来成分 | 自然素材でも体質によりアレルギーを起こすことがあると報告されている |
| 出血傾向 | EPA、ナットウキナーゼなどを抗凝固薬と併用した場合 | 血液をサラサラにする作用が重なり、出血リスクが指摘されている(医療機関の注意喚起あり) |
| ホルモン様作用による体調変化 | イソフラボン、プエラリア・ミリフィカなど | 植物性エストロゲン作用により、過剰摂取時のホルモンバランス変化が懸念される |
| 消化器症状(下痢・腹痛・倦怠感など) | 酵素・乳酸菌系サプリ、特定成分の体質不適合 | 成分や腸内環境との相性により一時的な不調がみられることがあると報告されている |
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健康被害は、「医薬品ではないから安全」と思い込むことから起こるケースが多く見られます。
とくにサプリメントは複数を同時に摂取しがちなため、思わぬ成分の重なりや相互作用が発生します。
3. サプリメントと薬の“併用リスク”
チェックリスト(代表的な組み合わせリスク)
- ・ビタミンK × 抗凝固薬(ワルファリン) → 薬の効果を弱める
- ・セントジョーンズワート(ハーブ) × 抗うつ薬 → 薬の代謝を早め、効果が不安定になる
- ・グレープフルーツジュース × 一部の高血圧薬 → 血中濃度が上昇し副作用の危険
健康食品と医薬品は、体内で同じ代謝経路を通ることがあります。 そのため、同時に摂ることで薬の効果が変わったり、副作用が強まったりすることがあるのです。 サプリメントも「薬との組み合わせに注意すべきもの」として扱う意識が必要です。
4. 実際の相談・通報事例(参考)
- ・「ダイエットサプリを飲み続けたら肝臓の数値が上がった」
- ・「複数の健康食品を飲んでいたら動悸が出た」
- ・「インターネット通販で購入した海外製サプリで体調を崩した」
国民生活センターの報告によると、これらの事例の多くは医師や薬剤師に相談せずに使用していたケースです。
また、SNSや口コミで「良さそう」と感じて購入し、トラブルになる例も増えています。
5. 消費者としてできる自衛策
チェックリスト(トラブルを防ぐために)
- ・新しい健康食品を始める前に、かりつけ医・薬剤師に相談する
- ・体調の変化があれば、すぐに使用を中止して受診する
- ・成分表示・原産国・販売者を確認する
- ・広告の「奇跡」「劇的」「即効」といった表現を信じない
- ・複数製品の同時摂取を避ける
健康食品は自己判断で選びやすい反面、体への影響は想像以上に大きいことがあります。「飲んでみて体調が悪い」と感じたら、まず使用をやめ、医療機関に相談しましょう。“体にいいはず”という思い込みこそが、最も危険な落とし穴です。
■まとめ
健康食品は、使い方を誤ると「健康を損なう原因」にもなります。
肝障害やアレルギーなど、実際に起きているトラブルは少なくありません。
大切なのは、自己判断を避け、正しい情報と医療者のアドバイスに基づいて利用すること。
健康食品を“信じる”よりも、“知って選ぶ”ことがあなたの体を守ります。
次回予告
「第5回:医療現場からのアドバイス ― 健康食品とどう付き合うか」
――医師や薬剤師が伝えたい、サプリメントとの上手な付き合い方と相談のポイントを紹介します。