―美容コラム―
美容に役立つ情報をお伝えいたします。
・皮膚の機能と構造 (皮脂膜について)
1. 皮膚の機能
皮膚には主に「保護膜」「体温調節」「感覚器(センサー)」という3つの重要な機能があります。さらに、皮膚は心身の健康状態を映し出す「鏡」としての役割も果たします。そのため、「皮膚は健康の鏡」とよく言われるように、美しい肌を保つためには心と体の健康が欠かせません。
保護膜
皮膚は体の最前線で外界と接し、水分の喪失や過剰な透過を防ぐバリアの役割を果たします。また、紫外線や微生物(細菌・ウイルス)、化学物質、異物の侵入を防ぎ、さらに物理的な衝撃からも身体を保護します。
体温調節
皮膚は汗を分泌することで水分の蒸発を促し、体温を下げる役割を担います。さらに、血管の拡張や収縮によって熱の放出や保持を調整し、外部環境に応じて体温を一定に保つ働きをしています。
センサー(感覚器)
触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚など、さまざまな感覚を受け取る重要な器官です。これらの感覚を通じて、私たちは外界の刺激を認識し、危険を察知したり、温度変化に適応したりすることができます。
2. 皮膚の構造
表面の構造
皮膚の表面には毛穴があり、その奥には皮脂腺が開口しています。皮脂腺で生成された皮脂は毛穴を通じて皮膚表面に分泌され、肌を保護する役割を果たします。さらに、毛穴同士をつなぐ溝があり、これを皮溝と呼びます。一方、皮溝の間にある高くなった部分は皮丘といい、この部分にはエクリン汗腺の開口部があり、暑いときには汗が分泌されます。 皮丘と皮溝が組み合わさって形成される模様をキメ(肌理)と呼びます。キメの形や大きさは、皮膚の部位、肌質、性別によって異なり、さらに季節や加齢によっても変化します。
「キメの整った肌」は、美しい肌の特徴のひとつとされ、日本人は一般的にキメが細かいと言われます。キメが細かい肌とは、皮溝と皮丘で形成される◇(ひし形)の模様が小さく、細かく、規則正しく並んでいる状態を指します。 キメが整った美しい肌は、水分量と皮脂量のバランスが良く、皮丘がふっくらと盛り上がっているのが特徴です。このバランスが保たれることで、肌の滑らかさやハリが維持されます。
キメが乱れる主な原因として、紫外線、摩擦、刺激物(肌に合わない化粧品)、微生物(細菌・ウイルス)などによる皮膚の乾燥や炎症が挙げられます。さらに、ストレスや生活習慣の乱れも大きく影響します。 特に、睡眠不足になると成長ホルモンや女性ホルモンのバランスが崩れ、肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れやすくなります。その結果、キメが乱れ、肌の調子が悪くなる原因となります。

皮膚の断面の構造
皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3つの層で構成されています。最も外側にある表皮の最外層は角質層で、その表面には皮脂と汗が混ざり合ってできる皮脂膜が形成され、肌を保護する役割を果たします。 皮膚の各層の厚さは、角質層が0.01~0.03mm、表皮が0.1~0.3mm、真皮が1~3mmであり、それぞれ約10倍の厚みを持っています。さらに、皮下組織(脂肪組織)は数mm前後で、個人差や部位による違いがあります。

3. 表皮・真皮の機能(働き)
美容の観点から皮膚の働きを見ると、主に以下の7つに分類されます。
- ・皮脂腺(皮膚表面):皮脂を分泌し、皮脂膜を形成して肌を保護する。
- ・角質層バリア(表皮):外部刺激や水分の蒸発を防ぎ、肌のうるおいを維持する。
- ・ターンオーバー(表皮):一定の周期で新しい細胞に生まれ変わり、健康な肌を保つ。
- ・メラノサイト(表皮):紫外線を受けるとメラニンを生成し、肌を守る。
- ・毛細血管(真皮):酸素や栄養を供給し、新陳代謝を促進する。
- ・線維芽細胞(真皮):コラーゲンやエラスチンを生成し、ハリや弾力を支える。
- ・免疫機能:異物や病原体の侵入を防ぎ、肌を健康に保つ。
これらの機能がバランスよく働くことで、美しい肌が維持されます。
皮脂膜
(1)皮脂膜の役割と分布
皮脂膜は、皮膚の表面を覆う天然の保護膜で、主に皮脂(トリグリセリド、スクワラン、遊離脂肪酸など)が汗や角質成分の分解物と混ざり合って形成されます。これにより、pH4~6の弱酸性を示す乳化物となり、肌の健康を維持します。
皮脂膜には以下の重要な役割があります。
- ・水分の蒸散を抑え、肌のツヤや滑らかさを保つ。
- ・弱酸性環境を維持し、雑菌の繁殖を抑える。
- ・酸やアルカリなどの化学物質を中和し、肌を保護する。
- ・外部からの物理的刺激を緩和する。
皮脂腺は真皮の毛穴に存在し、毛が太いほど毛穴や皮脂腺も大きくなります。特に皮脂腺が多く分布するのは、正中線(体の中央)に沿った部位で、頭部、額、鼻周辺、胸、背中の中央などが皮脂膜の形成が活発なエリアです。一方で、手のひらや足の裏には皮脂腺が存在せず、皮脂膜も形成されません。
(2)皮脂分泌のコントロール
皮脂が過剰に分泌されると、肌がべたつきやすくなり、空気中の汚れやホコリが付着しやすくなります。また、紫外線を浴びることで発生する活性酸素によって皮脂が過酸化脂質に変化すると、肌を刺激し、炎症の原因となることがあります。
皮脂の分泌量は性ホルモンの影響を受けるため、思春期から成人期にかけて増加し、小児や高齢者では少なくなる傾向があります。
特に性ホルモン(テストステロン・プロゲステロン)の影響で皮脂の分泌と角質層の肥厚が同時に進行すると、毛穴周辺で皮脂が過剰に分泌されても、角質がせり出すことで排出がスムーズに行われず、以下のような肌トラブルにつながります。
- ・白ニキビ(閉鎖面皰):皮脂が毛穴に詰まり、角栓を形成。
- ・黒ニキビ(開放面皰):詰まった皮脂が酸化し、黒くなる。
- ・赤ニキビ:詰まった皮脂をエサにアクネ菌が増殖し、炎症を引き起こす。
- ・黄ニキビ:炎症が悪化し、膿を伴う状態に。
皮脂分泌のバランスを保つことが、健康で美しい肌を維持する鍵となります。

皮脂分泌のバランスとスキンケア
気温が上昇すると皮脂の流動性が増し、化粧崩れ(ファンデーションがムラになる・落ちる)や化粧くすみ(ファンデーションが湿気を含み、色が暗くなる)の原因となります。
また、皮脂の分泌が多すぎると、ニキビ・吹き出物の発生や化粧崩れにつながります。一方で、加齢や冬の寒さによる皮脂分泌の低下は、肌のツヤや滑らかさを失わせる要因となります。
皮脂を適切にコントロールするために重要なポイント
- 1. 肌の汚れをしっかり取り除く(クレンジング・洗顔)
- 2. ターンオーバーを正常化し、不要な角質を除去する
- 3. 毛穴の詰まりを解消し、皮脂の排出をスムーズにする
- 4. 過剰な皮脂分泌を抑え、皮脂膜を適度に保つ
皮脂バランスを整えるおすすめのスキンケア
- ・ターンオーバーの正常化:ビタミンA外用剤(トレチノイン〈医療機関処方〉、レチノール〈化粧品成分〉)
- ・角質ケア:ケミカルピーリング
- ・皮脂分泌の正常化:ビタミンCのイオン導入
これらのケアを取り入れることで、皮脂の分泌を適度に調整し、美しい肌を維持することができます。