―美容コラム―
美容に役立つ情報をお伝えいたします。
・皮膚の機能と構造 (角質層のバリア機能について)
1. バリアの意味
皮膚の表皮の最外層は角質層と呼ばれ、角質細胞(死んだ細胞)が数層~数十層積み重なった「ラメラ構造」を形成しています。角質細胞同士の間には細胞間脂質が存在し、外界とのバリア機能を担っています。角質層の厚さは約0.01~0.03mmで、皮膚を守る重要な役割を果たしています。
私たちは両生類のように厚い皮膚を持っていませんが、長時間入浴しても体内に水が侵入せず、乾燥した環境でも簡単には脱水しません。これは、角質層が強固なバリアとして進化してきたためです。
バリア機能には、次の2つの重要な役割があります。
- ・体内の水分を保持し、過剰な蒸発を防ぐ。
- ・細菌・化学物質・紫外線などの外的刺激の侵入を防ぐ。
一部の医薬品(鎮痛剤や麻酔剤)は、このバリアを超えて経皮吸収されますが、角質層を通過できる分子量は500以下とされています。
基礎化粧品にも分子量500以下の成分はありますが、皮膚のバリアを超えるには、皮脂や細胞間脂質に馴染みやすい脂溶性であることが重要 です。
- ・ビタミンC誘導体(リン酸アスコルビン酸Na/Mg)は分子量500以下ですが水溶性のため、イオン導入や超音波導入 によって肌の深部へ浸透させます。
- ・コラーゲン(分子量 約30万)やヒアルロン酸(低分子でも2000~5000)、植物油中の脂肪酸トリエステル(数千)は分子量が大きいため、角質層を通過することはできません。
このように、皮膚への浸透性は成分の分子量や脂溶性の性質に大きく左右されるため、スキンケアでは適切な成分の選択や浸透技術の活用が重要です。
2. 保湿の主体
皮膚の保湿は皮脂膜と角質層によって維持されていますが、特に主な役割を担っているのは角質層です。その保湿の鍵となるのが、角質層の「ラメラ構造」です。
1. 角質細胞内のNMF(天然保湿因子)
- ・皮膚内部からしみ出した水分を吸収し、角質細胞内に保持。
- ・角質細胞を構成するケラチンを柔らかく保つ。
2. 角質細胞間脂質
- ・角質細胞の間を埋める脂質が水分を閉じ込め、蒸発を防ぐ。
- ・角層細胞同士をしっかりと接着するセメントのような役割を果たす。
このように、角質層は水分を取り込み、さらに逃がさないという「W保湿」のメカニズムを備え、肌の潤いを維持しています。

3. セラミド
角質細胞間脂質は、脂質二重膜が層状に何層も積み重なった「ラメラ構造」を形成し、肌の保湿機能を支えています。主な構成成分はセラミド(約50%)、コレステロール(約25%)、脂肪酸(10~20%)で、中でもセラミドがラメラ構造の維持に重要な役割を果たします。
セラミドは、水と結びつく親水面と、水を閉じ込める疎水面を持ち、親水面では「結合水」として水分を保持し、疎水面では層を作って蒸発を防ぎます。このようにして角質細胞間脂質は、水分を逃さないバリアとして機能し、肌の潤いを守っているのです。

4. 乾燥、肌荒れ(かぶれ)、敏感肌、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎の違い
皮膚のかぶれや炎症を示す言葉は多くありますが、いずれもバリア機能が低下した状態を指します。バリア機能障害の程度は、軽いものから順に 乾燥 < 肌荒れ(かぶれ)・敏感肌 < アレルギー性皮膚炎 <
アトピー性皮膚炎と分類されます。
バリアが壊れると、細菌やウィルス、化学物質などの刺激が皮膚内部に入り込みやすくなり、発赤や腫れ、かゆみなどの炎症を引き起こします。特に、炎症が真皮に及ぶと痛みを伴い、表皮の炎症ではかゆみを感じやすくなります。
バリア機能障害の段階
- 乾燥:バリア機能が弱まりつつある状態で、適切な保湿ケアが必要。
- 敏感肌:アトピー素因はないが、摩擦や刺激によってバリア機能が損なわれ、化粧品などの外部刺激に過敏になった状態。
- アレルギー性皮膚炎:バリア機能が弱まりつつある状態で、適切な保湿ケアが必要。
- アトピー性皮膚炎:バリア機能が弱まりつつある状態で、適切な保湿ケアが必要。
バリア機能が低下した皮膚は、あらゆる刺激に敏感になりやすいため、シンプルなスキンケアが最適です。まず、水分とセラミドを補給し、ホホバオイルやスクワランなど皮脂に近い成分でカバーすると効果的です。処方薬を使用する場合は、ヘパリン類似物質を含むビーソフテンローションなどの保湿剤を塗布した後、ビーソフテンクリームや白色ワセリン(プロペト)、ホホバオイルなどで保護するとよいでしょう。炎症がある場合は、冷却することも大切です。
